05.03.12:40
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11.25.20:19
無題
ガクトゥーン体験版を見てカッとなった代物。
支部からの転載。
いやしかし、ロボですね。大変にロボで実に楽しみです。
切欠、切欠、なんだっただろう。
思い出せない。
とても、些細なことだったとは思うのだけど。
ただ、他愛ない話題から他愛ないやりとりで、マスター・テスラがまた
「ネオン・テスラ。お前のすべては私のものだ。だが」
「私の所有物ではない、ですよね」
言葉を遮る。
のは、そんなことをいうからだ。
そういう意味ではないと、あたしはもう知っているけれど、そういう言い回し、慣れていないのだから出来ればやめてほしい。
マスター・テスラ。
たまにこういう事を言うけれど。
家に帰るために、てくてく歩きながら長身を見上げると、憎たらしいくらいいつも通りの顔をして、彼、こちらを見下ろしていた。
「人の言葉を遮るのは感心しないが。しかし、その顔。どうかしたのか」
「マスター。あなたがあたしのマスター<ご主人様>なのも、あなたがあたしを銀貨三十枚で買ったのも、本当の事です。嘘じゃなくて」
「なんだ、何が言いたい。言葉を遠回しに使うのは年寄りのすることだ。子供のすることじゃあない」
「ぐっ。だから、ですね。その、全て私のものだって、その言い方は語弊があると思うんです」
いつも通り、72歳なんて(いいえ、本当は92歳ということなのだけど)自称通り年寄りめいた言い方で
こちらに早く言えと促したマスター・テスラに、なんとも言えない顔をされる。
促したのは、そっちのくせに。
それに、あたしの言ってることそんなに間違いじゃない、とは思う。
「一年生の男女の婚外同棲は禁止されているんですよ。校則違反です。事実がそうでないとはいえ、疑われるようなことを
わざわざ作るのはどうかと思います」
「なんだ、心配か。良い子だ、ゼリービーンズをやろう」
「いりません。嫌いなんですってば。いい加減覚えて。覚えてください。覚えろ」
一体いくつだと思われているのだろう。
同じクラスにいるということを分かっているのか、いないのか。
ことあるごと、良い子、と言うたび、小さな子供にするように甘い甘い菓子を与えようとするマスターを
ふくれっ面寸前の、それこそ菓子をやろうかと言われてもしかたないような子供みたいな顔で睨み付ければ
頭に手が置かれて、ぐしゃりと撫でられる。
「ゼリービーンズを欲しがらないのはわからんが。若いな」
「髪の毛、触らないでください」
頭のてっぺんから降った声に、定型文を返す。
別に、頭を撫でられるのはいいけど。髪の毛を整えているのにぐちゃぐちゃにされるのは嬉しくない。
けれどもあたしのその言葉にはいつも通り
「頭を撫でているだけだ」
やっぱり、彼からの定型が返る。
最寄駅から徒歩二三分なんて、あっという間でそんなやり取りをしていたら玄関はもう目の前。
いつも通りから逸脱しないいつもの、なんて馴染んでしまったやり取りをしながら
マスター・テスラとあたしは見慣れたお屋敷に帰り着いた。
言うただいまという言葉も、ただいまと紡がれる声にも、馴染んで
これもきっともう、日常のうち。
支部からの転載。
いやしかし、ロボですね。大変にロボで実に楽しみです。
切欠、切欠、なんだっただろう。
思い出せない。
とても、些細なことだったとは思うのだけど。
ただ、他愛ない話題から他愛ないやりとりで、マスター・テスラがまた
「ネオン・テスラ。お前のすべては私のものだ。だが」
「私の所有物ではない、ですよね」
言葉を遮る。
のは、そんなことをいうからだ。
そういう意味ではないと、あたしはもう知っているけれど、そういう言い回し、慣れていないのだから出来ればやめてほしい。
マスター・テスラ。
たまにこういう事を言うけれど。
家に帰るために、てくてく歩きながら長身を見上げると、憎たらしいくらいいつも通りの顔をして、彼、こちらを見下ろしていた。
「人の言葉を遮るのは感心しないが。しかし、その顔。どうかしたのか」
「マスター。あなたがあたしのマスター<ご主人様>なのも、あなたがあたしを銀貨三十枚で買ったのも、本当の事です。嘘じゃなくて」
「なんだ、何が言いたい。言葉を遠回しに使うのは年寄りのすることだ。子供のすることじゃあない」
「ぐっ。だから、ですね。その、全て私のものだって、その言い方は語弊があると思うんです」
いつも通り、72歳なんて(いいえ、本当は92歳ということなのだけど)自称通り年寄りめいた言い方で
こちらに早く言えと促したマスター・テスラに、なんとも言えない顔をされる。
促したのは、そっちのくせに。
それに、あたしの言ってることそんなに間違いじゃない、とは思う。
「一年生の男女の婚外同棲は禁止されているんですよ。校則違反です。事実がそうでないとはいえ、疑われるようなことを
わざわざ作るのはどうかと思います」
「なんだ、心配か。良い子だ、ゼリービーンズをやろう」
「いりません。嫌いなんですってば。いい加減覚えて。覚えてください。覚えろ」
一体いくつだと思われているのだろう。
同じクラスにいるということを分かっているのか、いないのか。
ことあるごと、良い子、と言うたび、小さな子供にするように甘い甘い菓子を与えようとするマスターを
ふくれっ面寸前の、それこそ菓子をやろうかと言われてもしかたないような子供みたいな顔で睨み付ければ
頭に手が置かれて、ぐしゃりと撫でられる。
「ゼリービーンズを欲しがらないのはわからんが。若いな」
「髪の毛、触らないでください」
頭のてっぺんから降った声に、定型文を返す。
別に、頭を撫でられるのはいいけど。髪の毛を整えているのにぐちゃぐちゃにされるのは嬉しくない。
けれどもあたしのその言葉にはいつも通り
「頭を撫でているだけだ」
やっぱり、彼からの定型が返る。
最寄駅から徒歩二三分なんて、あっという間でそんなやり取りをしていたら玄関はもう目の前。
いつも通りから逸脱しないいつもの、なんて馴染んでしまったやり取りをしながら
マスター・テスラとあたしは見慣れたお屋敷に帰り着いた。
言うただいまという言葉も、ただいまと紡がれる声にも、馴染んで
これもきっともう、日常のうち。
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